三国VS敦賀工
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三国 |
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敦賀工 |
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−燃えて燃えて炎上した県大会
選手権大会が始まった。甲子園球場で行われる、全国大会は、あくまで全国大会で、選手権大会は、地方大会も含みすべて本大会である。決して予選大会ではない。ここ福井でも29校という少ない少ない高校の中、少ないだけにレベルの高い大会が行われる。
僕とトキさんは20日雲一つない青空の下、福井県営球場へ出発した。
が、中止。
「空こんな晴れとるやんけ!」
声をひっくり返して怒るトキさん。福井県営球場は何故か雨に極端に弱く、シートもひかないまま雨を受けたらしくて、雲一つない晴天で開会式を中止するという暴挙に出た。何を考えているんだ福井県野連。
開けて21日。今度はシトシト雨の降る福井県営球場。この日、僕らがついた頃にはすでに開会式が終わっていた。
開会式が行われている途中に雨が降ってきたらしい。
「絶対こんなん試合やらんで」
と、トキさんは怒気をふくんで言う。どうやら試合は行われるようだが、開会式のあとかなり遅れて試合は行われるようである。
試合が行われると知るとトキさんは上機嫌である。球場前には各校の抱負が毛筆で飾られている。高校生らしいすがすがしいセリフと、いかにも背伸びしたセリフが混ざる中に、真夏のUVカット(T市内某高校)という高校生の決意表明が混ざっている。それを見て笑いながら、そして首をひねりながら僕たちは球場に入る。
バックネット裏が、開いている。福井県営球場のバックネット裏には、第一試合の勝者と当たる福井商の選手が、ビデオとスピードガンを用意して試合を待ちわびるほか、特に人はなかった。応援する人たちは当然それぞれ一塁側、三塁側にいるのだから、当然といえば当然か。良い席に陣取りながら僕とトキさんはスピードガンについて話す。
「何であんなの持ってるんスかねえ?」
「さぁ?」
後から聞いたが、名門校というのはスピードガンを持っているものらしい。はァ、そんなもの岐阜県大会で見た事なかったが、あのころとは時代が違うのか。時代は進んだ。あとから知った話だが、名門と呼ばれるほとんどの高校はスピードガンを持っているそうだ。
そうこうするうちにノックが始まる。全く予備知識のない試合を見る僕ら。ノックで実力を見極めたいが。しかし、両校とも、肩が弱いほかはえらく守備が良い。
「うまいなァ」
「僕、これが3回戦つっても信じますよ。」
たった29校の代表だから、簡単にベスト16には入れると思ったらそうでもないらしい。
試合開始。敦賀工業のエース(河野くんと言うらしい)の球は早速センター前にはじき返す三国高校一番バッター(中島くんらしい)。
鋭い打球が抜けていくかとおもったら、ショート(松下くん)が飛び込んで一塁送球。完全に破ったとおもった打球がなんと間一髪の内野安打に。これはホントに地方大会一回戦か?
「(レベルが)たかっ」
二人そろって口にし、目を見合わせる僕ら。地方大会と言えば、ショートが一塁にワンバウンド送球し、ガクラン着た応援団が適当に暴れ、ワンサイドゲームで終わってしまい、それを迎える暖かい応援団、ああ、弱小野球部にも栄光あれ!って感じのものじゃあなかったのか?たとえあまり上手くなくても、全力でプレーし、自分をすべて出しきるのが美しい高校野球だとおもっていたら、なんとも、まぁ、レベルの高い事。
「もう、お兄さんビックリや」
と、良く分からない言葉をはくトキさん。ホントにビックリや。
ちなみに。私は選手の名前覚えるような見方をあまりしないので、新聞は手元にありますが、覚えている名前以外は以下ポジションで記します。その方が自然だし。
普段僕の高校野球スタイルは
1 応援する。
2 予想する。
3 感動する。
4 誉める。
という四つの行動だが、なぜだかトキさんと行く時は
1 球種をみる
2 配球を読む
3 技術をみる
4 予想する
5 評論する
という、実に知ったかぶりーなおやじに変貌してしまう。バックネット裏で見ているという事もあるだろうと思う。そして甲子園などと違って特に応援するチームを決めずに来ているという事もあるだろうと思う。ま、それもまた正しい見かた。周りの人に聞かれると恥ずかしいような素人談義だが、実に本人達はまじめに野球を論じる。自然、僕なんかは恥ずかしいのでひそひそ話になる。
そうやって、テレビの前のように、久しぶりにアカデミック(バカデミックとも言う)に野球を見る。もともと技術論に関してはうるさい僕だけに、ひそひそ話だが饒舌になる。そうやってバックネット裏から敦賀工のエースの持ちダマを分析する僕ら。ストレートと、ションベンカーブ(おそらく自称スライダー)。そして普通のカーブ。もう一つ、勝負どころで不思議な変化をするボールを投げる。これはまっスラ、あるいはムービングファストボールか。それとも、SFF(自称フォーク)かもしれないし、握りのおかしいストレートかもしれない。これが実に変な変化をする。ストレートとほぼ同じ速度で飛んできて、ある時は縦に、ある時は横に微妙な変化をする。三国はこれが打てず、ランナーを出しながら得点できない。適当に荒れダマなのが持ち味か。ひじの使い方が上手く、これはちょっと曲者だ。
一方の敦賀工は、なかなか打撃の強いチームらしい。好守、強打、そしてつかみ所の無いエース。これだけそろえば、運さえ向けば甲子園に出てもおかしくないほどの戦力。さすがにそこまでのレベルはないかもしれないが、なかなかの強豪と見た。見るからに毎日一生懸命練習していそうなチームだ。
「燃えろ、燃えろ、燃えろツルコー、燃えろ、燃えろ、燃えろツルコー、燃えろ、燃えろ、燃えろツルコー」
を恐ろしいほど繰り返す敦賀工の応援団、はや?応援団は、どうやらいないらしい。ガクランがいない。良く見ると三国の方にもいない。どうやら生徒がちょろっと見に来るだけで、応援担当は野球部員の残りの仕事らしく、どうにも応援がワンパターンだが、敦賀工業の応援は小人数ながらハイテンションで、実に好感が持てる。
応援に応えたい敦賀工。三国のエースはサイドハンドでいかにもコントロール投手な出店くんだが、敦賀工打線は球威が無いと抑えれそうになさそう。球種はスライダーと、カーブ。そんなにキレが無いわけでもない。むしろキレる方だと思う。が、そのカーブを敦賀工打線がとらえる。カーブを連打されてあっさり二点先制。ストレートでカウントを稼ぎ、変化球で打たせてとる、というスタイルを、どうやら敦賀工は研究していたらしい。その変化球もどうやら甘く入るようだ。名字の面白さと、サイドハンドの曲者ぶりが期待させるのに十分な投手だったが、期待のしすぎだった感がある。
が、いくら甘く入るカーブを読んでいても、カーブにタイミングを合わせられる高校生はそういない。一回戦でこれだけのレベルを見せられると、うーん。トキさんは
「まぁ、甘いカーブやから」
というが、僕は納得できなかったりしながら、見る。三国は二回にも四球がらみでチャンスを作るが、謎のボールが要所で決まって三国打線を抑える。これはコールドもありか?敦賀工は二回裏にも着実に一点を加える。強いぞ、敦工。
強いぞ、UV。体が赤くなってきた。トキさんなんかも見ていて痛々しい。真夏のUVカットは決意表明にふさわしいという見事な予見。すごいぞ、T高校。真夏のUVカットが為されていない僕らは、とりあえずジュース買い、水滴を痛い皮膚に塗りつけたりしながら野球を見る。痛い。
そして、試合は問題の三回表にうつる。ここで、敦賀工業はバッテリーを交代した。なんで?
「温存、かなぁ。もう勝てると読んだか?」
と僕。トキさんは
「まさか。」
というが、もし、納得いかないピッチングをしているとしたら、そのまま一塁に入るだろう。なんせエースとキャッチャーは主軸を打っているのだ。
もし監督命令に逆らった罰ゲームだとしたら、その後捕手が伝令で行く事はなく、ほされっぱなしだろう。どうやら温存。どっちにしても早すぎる采配。これは秋季大会で見た高岡第一と同じ采配で、ほとんどの場合裏目に出る。トキさんは
「これは、もう一波乱あるで」
という。おそらくそうだろう。二番手投手もほとんど同じフォーム(もうちょっとバランスが悪く、ひじが立っているが)の曲者タイプで、しかもまともなピッチング練習は一イニング分しかしていなかった。目先が変わるとかそういう次元で押さえられるものでもなく、大体目先が変わっていない。
「でも、まあ変なひじの使い方してるし、そうは打てんでしょう。」
と僕が言うが、これも敦賀高校のコールド勝ちを予想してのセリフである。しかし、やはり野球はそんな甘いものではなかった。あっさりとランナーを許して上位打線にチャンスを作られ、無死二、三塁のピンチに立たされるかわったピッチャー(橋本君らしい)。三国打線はそれをさらにとらえてあっさり同点に。
「ほれなあ。言ったやろ?」
と上機嫌なトキさん。僕は打たれた投手が情けなそうにベンチに帰っていくのを見てなんともいたたまれない気分で見ている。そのあと二塁手がマウンドへ(中野君だとさ)。これがまたつるべ打ちにされてまたショボショボとセカンドに帰る。
「うーん、久しぶりに試合展開が当たってうれしいわ、俺こういうの予想するの好きなんや。」
とトキさん。順風満帆だった敦賀工の沈没を見て大喜びだ。三国のほうも、予想外の展開に沸き立つ。
一方の鶴賀工ベンチはさっきまでグラウンドにいた捕手が伝令に出たりして何ともかわいそうだ。エース君も、ベンチ前で必死の声援を送る。ついに手がなくなった敦賀工は遊撃手(松下君)をマウンドに送る。ピッチャーの橋本君にかわってセカンドに入った川口君が、中野君の降板を受けて遊撃にまわるというスクランブルな守備体制で、遊撃がマウンドへ。この元遊撃手、ストレートとカーブしかないらしく、見ていて痛々しいほどカーブが曲がらない。そして悪いことにボールがシュート回転し、抜けたらデットボールになるという絵に描いたような急造投手。デットボールを連発しまくる。
審判はなかなかのナイスジャッジで、ひじ付近にきたボールをよけきれなかった三国の選手をかすったかどうかわからないような状態だが、一塁に送りった。その後さらに三つぐらいデットボールがあったが、それにに腹を立て、バットを叩き付けて一塁に向かった三国の選手を、明らかなデットボールながら、それと見なさず、ボール扱いにした。地方のレベル低い審判だと、よけてないという理由で危険極まりないひじ付近のシュート回転暴投(よけると余計に危ない)をボール扱いにしてしまいがちだが、危険と判断したら一塁に送り、非紳士的な一塁への向かい方をした選手はボールとみなす非常に適切な判断がみられた。ちゃんと硬式野球の経験者が審判をしないとこうはいかないんだよねえ、ナイスジャッジ。
で、結局、デットボールと9安打でこの回は10得点。三国高校、なんだか良く分からないけどホクホクの10点。敦賀工、明らかな采配ミスで10失点。最後の夏は、無情な夏である。
僕らはこの回の攻撃が終わると日陰の二階席に移動を始めた。僕が上で三国の投手交代を見送る最中、トキさんはジュースを買いにいった。一人打ち取ったところでトキさん着席。
「どう?次のピッチャー」
「あんまり球の速くない本格派、というやつですか。バランスがすごくいいんで球が伸びる感じがします。結構いいみたいですよ、あのカーブとか。」
カーブとストレート、あと自称スライダーがコントロールよく決まる。そして何よりテンポがいい。逆転したあとにはもってこいの好投手だ。あっさり三者凡退に打ち取る二番手投手(加藤君という名前だそうだ)。トキさんが思わず、
「何であのこがエースじゃないん?」
というピッチング。
「ほんとですねえ。スタミナが無いか、あるいは、二年か、一年じゃないすか。体の線も細いし。」
で結局その後三イニング鶴賀工業を沈黙させるこの二番手君だが、三回からマウンドに上がって三、四回は良かったが、五回に早くも危なっかしくなり、6回に崩れて二点を失うことになる。素晴らしい投手だったが、やはりスタミナが無いらしい。で、出店君再登場でわからないかな、と思ったらピッチャーがかわった三国、二塁で先発して試合途中に三塁に入った選手(五島君)がマウンドへ。
負けていようが何しようが、ハイテンションな敦賀工がわスタンド。小人数だが、頑張る彼ら。燃えろ燃えろ、燃えろツルコーと100回は言ってそうだ。鶴光師匠が聞いたらどうするのかと気になってしまうほど繰り返す鶴賀工。小人数なのにえらく楽しそうな応援、さすがに高校野球を遠路はるばる見に来るだけあって熱心だ。好感の持てる応援につられ、7回にも点を奪う敦賀工。すっかり追い上げムードで、分からない。が、敦賀工は完全にペースをつかみながら、得点できず、また、三国高校も散々のデットボールで、いいかげんに代えたほうがいい、と思わせる元遊撃手の球をとらえられずに、良く分からないまま小康状態となり、ゲームはなんとも消化不良な形で7-10で終わった。
この試合、ともすれば最悪な凡ゲームに見られがちだが、やはりこれを3点差の好ゲームと思わせてくれたのが、何といっても敦賀工の小人数ハイテンション応援団だった。負けて悔いあり敦賀工、明らかに格下の相手に足元をすくわれたが、負けてもあれだけの拍手をもらったら、胸をはって帰らねばなるまい。球児を男に変えたねえ、応援団のみんなよ。
後日談になるが、この投手交代はコントロールの不安定さから変えたらしい。確かに鶴賀工のエースは1,2回コントロールが定まらなかった。が、なんでまたキャッチャーまで変えたのかは不明である。あと、外野か一塁に残すということをしなかった点も謎だ。
一方ひょんなことから格上の相手に勝ってしまった三国高校だが、後日に福井商に散々な目に合わされることになる。でもレベルの高い福井で一勝したのだからこちらも胸を張れるだろう。勝っても負けても涙、そして誇りとなる高校野球、ああ、いいなあ。
てなことを思いながら僕らは一試合目の終了と共にまた下に降りた。手の日焼けの痛さが少しひいてきたからである。トキさんの皮膚は叩けばとんでもない痛さになるであろう、というほどに赤い。僕も負けずに赤い。どれぐらい痛いか叩いてみたら、すごかった。しかし、その痛さを次のノックで忘れさせてくれた一人の好選手がいる。藤島対丹生、試合前のノックを見て、僕は思わず笑った。
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丹生 |
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藤島 |
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(7回コールドゲーム)
−超高校級のベースコーチ登場
赤いソックス丹生高校のノック。一塁にはアンコ型の選手が。背番号11番君。思わず僕は吹き出した。
「足、みじかっ!!!」
本当に失礼な話だが、実際、すごい足の短さである。僕はトキさんに、
「見てくださいよ、超高校級の足の短さですよ、あれ。」
という。なんて失礼なやつ。彼は足が短いが、一塁の守備は意外と柔らかくて
「さすが相撲取りっすねえ、柔らかいっすよ。」
と失礼な賛辞を贈る僕。トキさんはそのたびに笑いながら、
「もう、そんなに笑わさない。確かに足短いけど。ホンマ、お兄さんびっくりや。」
と良く分からない返事が返ってくる。
「いいわぁ、足短いわあ。あんなに短いのみたことないもんなあ。」
「自分よっぽどお気に入りやな、あの選手。」
トキさんは笑いながらもあきれ気味である。
試合開始。藤島高校のエース田中君は130キロは出すであろう本格派。非常に伸びるストレートと、ほとんど変化しないカーブ。そしてどうやらウイニングショットにフォークボールを持っているようで、これがあまり落ちないため、ほんとにフォークボールかどうかわからないのだが、実に効果的に使われる。丹生高校足の短い彼(後で調べたら彼は浜本君という名らしい:データはこちら)は一塁コーチャーズボックスに入った。見た感じ結構長打も有りそうだが、残念だ。ストライクゾーンはひざの上から脇の下だから、首が無く、ひざ下の短い彼にとってストライクゾーンは相対的に広いため、バットスイングにも無理が出て面白いスイングをするだろう、と期待していたがまったく無駄だった。小太り体型な割にまるまる太って見える彼(多分横に小さく、前後に広いからそう見えるのだろう)はコーチャーズボックスを所狭しと動き回り、声を送る。これがまた小さい。小さくて太っているから余計愛らしい。僕の目は藤島のエース好投手の田中君もそこそこに、11番君に釘付けだ。ランナーが出て、凡退すると、大事そうにヘルメットを受け取って小走りする姿が何ともおかしい。
一方の藤島打線。一番バッターが良く分からない打ち取られ方(確か牽制死…あまり覚えてない)をし、もったいないなと思っていたら二番バッターの高橋君が思いきり振って飛んだ打球がスタンドイン。打った本人が一番びっくりしているような高橋君のホームランで先制した。高橋君の喜びようがまたすごい。どう喜びを表現していいかわからないようで、ダイヤモンドを速く走ってみたりスピードダウンしてみたり、小さく飛んでみたり、ガッツポーズをしてみたり、ベンチ前にきてなんかはしゃいでいた。藤島高校は県内でも指折りの進学校。そんな学校の彼でもやはりホームランはうれしいらしい。ああやって喜ぶ姿を見ると、むしろ喜ばないと相手に失礼な気がするから不思議だ。先制、藤島。
時折フォークボールを交えながら田中君が好投する。その姿を見ていたい気もするが、トキさんはバイトの関係上球場を4時に出ることにしている。それまで、あと30分。ここで、素晴らしいプレーが飛び出す。
きわどい内野ゴロ、藤島の野手さばいて何とか一塁送球、が一塁はきわどい、送球がそれる。セーフ!素晴らしいプレイ!!!歴史に残る美しさ!
…どこがって?ごめんなさいねえしょーも無い話ですが、コーチャーズボックスの11番君です。
セーフ、と腕を広げたときチョコン、とひざを曲げて腰を落し気味。
「際どかったなあ、ちょっと送球それたもんなあ。」
というトキさん。僕はおおはしゃぎしながら
「今の見ました?一塁ベースコーチャー、手さっと広げて!!足みじけー。」
「どしたん、やまなかくん。」
「いや、相撲取りみたいでしたもん、土俵入り土俵入り。」
トキさん、どうも、土俵入りという響きがハマッたらしい。
「いやぁ!残念、見たかったわあ。」
「芸術的でしたよ、もお、見た瞬間、思わず、よ、雲竜型!って言いたくなりましたもん」
その雲竜型という響きが受けたらしい。トキさん1分間悶絶。
あと三十分で4時、その間に何とか雲竜型が見たい、とトキさんも俄然コーチャーズボックスに注目し始めた。
試合は流れ、丹生高校が同点に追いつき、藤島が突き放したところで4時。帰宅。
その間、コーチャーズボックスばっかり見ていてまったく試合の内容を見ていないのが、いかにもいいかげんな僕の見方らしい。
それにしても藤島高校田中君は好投手である。勝ち進めば福井商業とやることになるが、案外いい勝負になるかもしれない、そう思ったことだけは覚えている。
帰宅途中
「いい試合してますかねえ?」
「多分、いい試合しているでしょう、ええ勝負やで。」
といっている最中に藤島が7点とって勝負を決めたことを、僕らは知るよしも無い。
本名 浜本 茂幸
丹生高校二年(1999年夏当時)身長165センチ 体重74キロ(あくまで公称)
越廼中学校卒業
↓ここからは山中泉の歪んだ目を通した想像(文句いわれたら平謝りに謝ります)
見た目 身長165センチ 体重82キロ 座高130センチ。靴のサイズ26(もちろん4E)
ニックネーム ブッチャー あるいはシゲッチョ(推定)
われらがニックネーム 雲竜型