捕手

00吉原孝介

 読売期待の若手だったベテラン。岡山東商-川崎製鉄水島-巨人

 もともと身体能力ばかり高い捕手陣の中に、「中日好み」という理由で入ってきたらしい元読売期待の捕手。岡山出身という理由があるという噂もあるが。

 すでに若手でもなく、存在感を示すには、もう打つしかなくなった。足があって肩が良く、フットワークばかりやたらいい落ち着きの無い捕手で、リードも強気に行き過ぎて単調になって大きいのを食らう、という変わった捕手。勝気なのはいいのだが。 ただ、この手の捕手は何かきっかけがあるといきなり晩成することがある。リードが結構未熟なのも良く見れば成長途上ということで、読売よりメンバーが若干薄い中日捕手陣で、リードで見せることが出来れば、十分にレギュラーは狙える。

27中野栄一

 中日に多い元横浜と知られていない選手。横浜-亜細亜大-中日。

 例によって強肩が武器で、練習の虫ときたら中村型だ。が、26歳で叩き盛りはすぎたので、もう守備面で中村を超えるのは難しく、中村にはない軟らかさで勝負したい。横浜、亜細亜大と投手の良いところで育ったところもあって、キャッチングは巧く、リードも投手さえ良ければさえるのだが、実戦型ではない。となると、打撃を良くして試合に出て経験をつむしか方法がないが、中日首脳陣は捕手に打撃を求めていないらしいため、打棒開花も練習不足であまり期待できそうにない。

 鈴木の台頭で今年は勝負。成績が残らないと、トレードされて他球団の第二捕手になるというのが中日のパターンだが、はたして彼はどうだろう。

36 藤井優志

 さすらいのパワーヒッター。金沢-大阪学院大-中日。 

 打撃、リード、肩のすべてが一軍級の実力を持っていたが、たいてい体調が悪くて実力をだせずじまいに終わり、結局実力そのものが知られることなくなっている。腰痛持ちのつらいところだが、驚異的な背筋力は抜群のパワーを誇り、その打球は芯を食ったらはるかかなたまで消えていく。おまけに大学時代は首位打者を記録するなど、捕手として、打者として必要なものはすべて持っているのにもかかわらず、腰痛と中村のせいで芽が出ないまま、ついに実力そのものまで落ちてきた感がある。個人的にファンなのだが。

 簡単な方法があって、開き直って太るか、負担を減らすために痩せるかどちらかすれば、あっという間に数字は残ると思う。

38 鈴木郁洋

 走れる捕手。仙台育英-東北福祉大-中日。

 すでに足が速いことしか知られていないようだが、例によって強肩だ。身体能力の高さは中日スカウトは見逃さない。リードが悪いとよく言われるが、悪いのはキャッチングで、リードそのものは中村と同等かそれ以上のものをもっている。中村の守備が巧すぎ、比較されてしまうのはかわいそうなところだ。優秀なバットコントロールは経験さえつめば三割を超える可能性もあるのだが、一軍の第二捕手ではそれも難しいか。

 身体能力が高く、リードは中村型ではない選手で、感覚としては中村の前の正捕手、中尾に近い。怪我をしないでチャンスをじっと待ち、経験さえつんでいけば…と期待しているが、監督のそばに座ることに夢中になっているようではどうなのか。はたしてそれがどの程度の経験になるのか、と私はききたい。 

39中村武志

 守備力ナンバーワン捕手。花園-中日

 キャッチングの腕とスローイングは歴史に名を残すほど達者な選手。ただ、リードに関しては投手が良くないとリズムが出ないという厄介な選手で、打たれ出したら止まらない原因の一端となってしまっている。リードは古典的パターンリードで、インコースのストレート、外のストレートと、変化球のコンビネーションなど、悪くないし、お手本のようなリードをするのだが、相手に考える時間を与えればすべて読めてしまう。そのためテンポが悪ければ次々に打たれだす。そこへ来て「低めへ低めへ」のポースでストレートの球の勢いをなくしてしまうので始末が悪い。

 で、何が悪いのか考えて打てなくなってしまうのが悪い。逆に打ち出すとテンポまで良くなってリードがさえる。だから彼の場合誉め殺しにしてちょうど良いんじゃないのかと思うのだが。せっかくキャッチングが巧いのだから、リズムは常に意識して欲しいところだ。

 守備は異常なぐらい巧い。

65清水清人

 山陰の怪童。邇摩-中日

 藤井と同じく背筋力型の選手で、例によっておそろしい強肩という選手。こちらは体作りに成功、怪我することなく育てば十分ポスト中村を狙える。実家が漁師で、お手伝いをしているうちに背筋力がついた、という稀に見かける背筋力エピソードを持つ。それだけ日々の作業がやった分だけちららになるという体質らしく、この当たり鍛えれば鍛えるほど伸びるということかもしれない。島根の中堅高にいながらにして、高校通産本塁打数が多いのも注目すべき点で、もしや相当の拾い物かもしれない。

 問題は、中日捕手人がみんな身体能力重視で、全員経験を必要としているところである。守備だけはいい、とか、打撃にセンスがある、とかならその練習をしていればいいのだが、みんな一様にあとは経験のみ、という選手ばかりなので、みんな平等に使っていては誰も伸びないという結果を招きかねない。清水にはその当たり、周りの選手の意識向上材としても期待したいところ。

 67三輪敬司

 武器は強肩の人。愛工大名電-中日。

 イチローの後輩とか、その程度しか話題のない選手で、ポスト金田のにおいがプンプンする選手。体作りとか、キャッチングの練習とかしているうちにろくに試合に出ることもなく6年がすぎた。例によって強肩が武器。素直さがあり日々言われたことをせっせとこなしている泣かせる選手。だが、それ以上のものは当然得られる事もない。このあたりは育成しているほうに問題があり、大学に行っていればもうちょっとすごい選手になったかもしれない。

 中日の捕手陣は目が悪い。捕球ばかりに目がなれているのか、打撃に関しても選球眼が悪く、そのあたりがかえってリード面の向上を妨げているように思えてならない。それが比較的できていた矢野、吉鶴当たりすぐにトレードされてしまうところを見ると、どうも捕手は身体能力さえ高ければ良いという風なフロントの方針のようだが、その結果三輪のような選手がかえって没個性になってしまう事実をどう考えているのか、と私は問いたい。

 

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