ヤマナカ式変化球概論

 野球に関して机上の知識と、100キロそこそこのスピードボールしか持ち合わせていない私の、あからさまに間違った変化球知識の伝授。

 某野球解説書の解説と、自分なりの解釈を踏まえた球種解説ですが、間違っているだろうと思っているので、知ってる人は是非教えて下さい。

 

ストレート系

ストレート

 直球。二本の指をボールの縫い目にかけてなげる。

ムービングファストボール

 縫い目に指をかけないで投げる速球。球速と比べて回転が与えられず、また不安定な回転
のため不規則な動きをし、ゆれながら飛んでくるように見える。サイドハンドの投手や、外国人
投手が得意。

 投げ方には何種類かあり、縫い目に指を立てるようにして投げたり、握りを浅くしたりと色々
有るが、投手が投げ方によってアレンジしているという部分が多分に有る。

ツーシーム

 ボールの縫い目と水平に二本の指を重ねて投げるボール。二本指で真っ直ぐ押すために少
なく正しい回転をボールに与えることができ、ストレートと同じ軌道で飛んでいくが、縫い目が指
にかかっていない分だけ回転が少なく、若干落ちる。落ちるストレート。

 アメリカのマイナーリーグで多用され、日本でもごくまれに投げる投手がいる。コントロール
はつけやすいが、落ちない時があり、そうなるとこれ以上ない棒ダマになる恐れがある。

三本指魔球

(スリーフィンガーファストボー
ル)

 三本の指をボールに当てて投げるボール。別名高速パーム。ムービングファストボールに近
い変化をする。

 指の力の入れ具合によってどういう変化をするか変わってくるが、投げそこなうとまったくの
棒ダマになる。

ハイスピードナックル

 二本指を曲げてボールに当て、何も考えずに思い切り投げるボール。全く不規則な変化を
し、スピードもそこそこあるが、コントロールが全くつかない上に、暴投率が高く、また変化する
とも限らないとんでもないボール。

 チェンジアップの一種として使う投手が極々まれにいる。

 

カーブ系

カーブ

 ボールの縫い目の左側に指を当て、ひねって投げるボール。右投手の場合、大きく左に曲
がり落ちる。

ブレーキカーブ

 ストレートと同じ軌道をきた後、ベース手前で浮き上がった感じに球速を落しその後鋭く曲が
り落ちるボール。最も有効でハイレベルなカーブ。握った際に親指でひねりあげる投げ方をす
るため球速と比べて回転が多く、やがて軌道方向と回転方向に矛盾が生じてブレーキがかか
る。

 いわゆる「速いカーブ」。ジャイアンツの桑田、ホークス工藤のこのボールは、まともに決ま
ればまず打てない。

スローカーブ

 抜いたカーブ。右対右の場合、ストレートと同じ腕の振りから、おおよそ30キロ近く減速した
ボールが打者手前から斜めに曲がり落ちる。軌道は読みやすいがスピードが安定しないため
タイミングがとりづらく、だからといってタイミングだけ合わせていくとボールが軌道から消えて見
える。ドラゴンズの今中、ブルーウェーブの星野のこのボールは余りにも有名。

 カーブを浅く弱く握って抜いてなげるのだが、ひじと手首に関しては強めにひねるのがコツ
で、また腕の振りもストレートと同じにしないとばれるので注意が必要。リリースポイントを早め
るような感覚で抜いて投げてやるのがよい。

大カーブ

(サウスポーカーブ)

 右投手で言うションベンカーブ。投げ始めからいきなり曲がり始める全く不可解なボールで、
右投手がなげた場合あっさり痛打されるが、左投手の場合は絶対数が少ないためこのボール
が有効となる。変則フォームの投手が良く投げる。右投手は矯正されるためほとんど投げない
が、左投手の場合子供の頃から、誰も打てないためにいつまでもこのボールを投げ続け、つい
にはションベンカーブが、すさまじい変化をする大変化球に変貌してしまう。スライダーに近い
といえない事も無い。

 いわゆる「左特有のカーブ」で、二種類以上のカーブを持つ左投手が、カーブ、スローカーブ
とともによく使うボール。カーブの時だけフォームが違っていたりする投手が投げるボールは
大体このカーブを投げる。

 一番の有名どころはプロ初登板ノーヒットノーランをやってのけた元ドラゴンズ近藤真一、最
近では甲子園での奪三振が光った京都成章古岡投手のこれが記憶に新しい。

ドロップ

 真下に落ちるカーブ。

 落ちるシュートであるシンカーの場合、サイド、アンダーハンドで真下に落ちる変化になる
が、カーブの場合は変化の関係上、オーバーハンドの投手が真下に落ちるカーブを投げるこ
とになる。

 親指で下から上にひねり上げ、指、ひじ、手首をバランス良くひねるテクニックが必要なボー
ルで、投げるといかにも故障しそうだが、腰と肩を上手く使うことで無理なく投げることができ、
またフォームでストレートと見分けることもできない。

 スローカーブであり、またブレーキカーブであり、そしてフォークボールでもあるこの魔球を駆
使した投手に、200勝投手堀内恒夫がいる。

 

スライダー系

スライダー

 ブレーキがかかり曲がり落ちるカーブに対し、スライダーはスピードが落ちないで横に曲がり
滑っていくボール。右対右の場合、ボールがバットから逃げていくような変化をする。左打者
に対し左投手の真横に投げるスライダーはほとんど魔球である。

 縫い目に指を当てないで、横に切るようにして投げる。こうやって書くとフォームで見分けが
つきやすそうだが、実際アマチュアレベルだと見分けやすい。プロレベルとなるとひじから手
首までを上手く使って全く分からないフォームで投げる。横手投げの投手がこのボールを得
意とするが、オーバーハンドでもこのボールを得意とする投手は多い。特に左投手の水平に
曲がっていくスライダーは左打者封じの切り札的なものとなる。

 コントロールの良い投手(エンゼルス長谷川など)がこのボールをコーナーに決めだすと手
がつけられない。

 ただし、ボールの回転方向の性質と打者のスイング軌道があまりにも正直になり、回転とち
ょうど良くぶつかるために球質が軽い。

高速スライダー

 スワローズ伊藤智、ライオンズ松坂、タイガース薮などに代表される華麗なウイニングショッ
ト。スライダーは縫い目を指にかけないのに対し、高速スライダーは指をかける。ストレートより
若干遅い程度の速度で来る上に、全く減速しないままボールが逃げていくために、分かって
いても打てない上に、見送り三振逃れについ手を出してしまう。

まっスラ

中指を縫い目に当てて、そのままストレート感覚で押してやるボール。手元でちょっとだけ曲が
って芯をはずす。だから金属バットにはあまり通用しない。場合によってはスライダー回転で
飛んできながら変化しないという、全く物理的に不可解な状況を生み、打者にとっても投げる
投手にとっても、うける捕手にとってもタチが悪い。

投げやすい。

 見切られたら間違いなくホームランボール。

たてスライダー

 ひじを伸ばしたまま投げる投手が得意とするスライダーで、肩ごとボールを縦に切るため、ボ
ールが下にするりと落ちていく。打ちづらいことこの上なく、攻略を立て難い球種だが、球質が
軽く(バットに当たったらそのままホームラン回転になるため)またキャッチャーも取り難い。

スラーブ

 カーブの握りでスライダーを投げるボール。さすがに中間のボールだけあって、全く中間の
変化をし、打者に読まれてあっという間にスタンドイン、というボールになりやすいが、前述大
カーブのように変化が大きいため、右投手でも左打者に対してだけは有効になるときがある。
あとは見せダマ。

 

シュート系

シュート

 ボールの縫い目二本に、指二本を内側にかけ、中指と薬指の間からカーブと逆にひねって
投げる。右対右の場合投げられたボールが打者方向に曲がっていく。ホークス西村、スワロ
ーズ川崎、ジャイアンツガルベスがこのボールを得意とする。

 金属バットにはあまり通用しない。

逆スライダー

(カミソリシュート)

 プロ野球史上もっとも効果的かつ華麗な歴史を持つボールで、名球界入りした元ホエールズ
平松、ライオンズ監督東尾、現解説者のジャイアンツ西本と言った本格派がウイニングショット
として使ったボール。カミソリシュートは、完全に読んでいないと打つことが不可能なボール
で、普通シュートはサイドハンド、あるいはスリークォーターの投手が投げることが多いのに対
し、このボールはオーバーハンドの本格派が投げるために余計に凶悪さを持つ。ほぼスライ
ダーと同じ球速で、そのままインコースに鋭く横滑りするため、それは逆カーブとたとえるより
逆スライダーとたとえたほうが良く、スライダーと読んで体に直撃、ストレートと読んでダブルプ
レー、内野フライとなる。ちょうど高速スライダーの投げ方を逆にしたもので、普通の人が投げ
ると間違いなくひじを壊す。足腰のバランスと天性のセンスが必要な最強のボール。

 また、中途半端なスイングだとバットをへし折られる。

シンカー

 中指と薬指の間から抜いてやるボール。握りは諸説あるが、指をかけないシュート、あるいは
スライダーの握りと思ってもらって良い。スローカーブのシュート版で、右上手投げの場合ボー
ルは右に曲がり落ちる。サイドハンド、アンダーハンドの投手の場合、ボールが浮き上がる感
じで減速したあと、急激に真下に落下する。だからオーバーハンドの場合ファール打たせダ
マ、アンダーハンドで空振りがねらえるウイニングショットとなる。ストライクからボールの変化を
させる事が出来れば、ダブルプレーを取るのにも使える。

高速シンカー

 右アンダーハンドの投手がシュートをなげた時の変化が、右下への急落下(シンカー軌道)
であるため、これをこう呼ぶ。実際のところはシュートと呼ぶのが正しい。最近はライオンズ潮
崎がこのボールを使う。

ナチュラルシュート

 握りがおかしかったり、腕が横手、あるいはスリークォーター気味の時にストレートをなげる
と、自然とシュート回転する。プロ野球で、「サイドハンドの投手は左打者が打て」という鉄則が
あるのはストレートがシュート気味の上にスライダーなど右打者にとって不利な球が多いからだ
が、ナチュラルシュートは回転が進行方向にマッチしていない分だけボールに伸びが無く、甘
ければ逆に打ちやすい。

スクリューボール

 左投手の投げるシンカーの別称。球がスクリューと同じ方向に回転していくのでこう呼ばれ
る。特筆すべきは左上手投げの投手が投げる場合、右打者に対し向かってきたボールが右
下にするりと逃げるため、空振りになるのではなく、バットの下に当たることになりゴロを打たせ
ることができる。ダブルプレーを取るのには一番良いボールであるといって良い。

 左スリークォータハンドの投手の場合、真下に落ち、三振をとるのに抜群の効果を発揮す
る。

 

フォークボール系

フォークボール

(スプリット)

 人差し指と中指でボールの縫い目にさわらずに挟み、手首を返さずに抜いて投げるボー
ル。ボールは回転が無いままストレートと同じ起動を描き、ベース前で空気抵抗と引力のバラ
ンスですとんと落ちる。リリースの瞬間に指で押さえる感じでなげ、あとは二本の指からボール
が離れていく感覚で投げることになる。打者から見ると、ストレートと思っていたボールが、目の
前から消える感覚となる。このボールの名手にブルーウェーブ野田投手、ドラゴンズ今中投
手、元ホエールズ遠藤投手がいる。

 歴史的には元ドラゴンズ杉下茂投手のフォークは、捕手も取れないほどだったらしい。

高速フォーク

 いわゆる握力フォーク。思いっきり握っていた球をそのままストレートと同じ握りで投げると握
力の影響で勝手にリリースポイントが速くなり、その結果全く回転が無いボールが高速ですっ
ぽ抜けていく。

 驚異的な握力を誇るベイスターズの佐々木投手のフォークがこれで、高めに来ていた140
キロのストレートがワンバウンドするほどの変化をする。フォークボールは回転の無いボール
なので、抵抗が大きくなる速い球のほうが変化が大きい。もう一人忘れてはならないのが元カ
ープの大野で、たいして握力が無い大野だが、指の力だけは強く、晩年になっても150キロ近
いストレートと、130キロ台後半の高速フォークを駆使し、さらに他の球との組み合わせで抜群
の安定感を誇った。

 高速フォークは初速と終速の差が大きく、タイミングが合うようにボールを見るとボールが
消え、フォークボールを打つための壁を作ってもタイミングが外れてバットが空を切る。

薬指フォーク

 フォークボールによる握力の消耗を防ぐために、落下系のボールの原点に立ちかえってボ
ールを中指と薬指に挟み、すっぽ抜かせる投げ方が一時期話題になった。何でも村田長治
はこのフォークをも投げたらしい。

カウンターフォーク

 フォークボールの握りを、ボールの縫い目方向に合わせるのではなく、縫い目に向かって握
る握り方で投げるフォークボール。フォークボールとさほど変わらないが、にぎりやすい分だけ
変化は少なく、また投げやすい。

SFF

 スプリットフィンガーファストボール。一時期魔球と言われたボールで、フォークより浅く縫い
目のすぐ外へ指をあわせて投げるボールで、落下の原理としてはフォークボールよりツーシ
ームに近い。手首をかえしてもよく、投げ型はストレートと変わらないため、一時期大流行した
が、コントロールがつけにくい上に暴投率が高く、すぐブームが収まった。ジャイアンツの桑田
投手はこのボールをKボールと名づけ、ブームの先駈けとなった。

 また元マリーンズ牛島和彦投手のフォークボールがこれではないかと言われたが本人は否
定している。

 

チェンジアップ系

チェンジアップ

 ボールを持つ指を一本ないし二本、あるいは三本立てて抜くボールで、特に変な変化もせ
ずただ遅い球。速度がちがうだけで充分有効になる。投手によっては握りや、ひねりの工夫で
変化するチェンジアップを投げる投手もいる。

 コツは握りだけを変えてフォームを変えないこと。

低速フォーク

 オリックスブルーウェーブ星野投手などが投げるフォークボール。この場合指の間から上に
抜く、と言うまた別の感覚のため、変化の感覚としてはフォークボールよりパームボールに近
い。

パーム

 スリークォーターハンドから投げるとき、もっとも有効な落ちるボール。五本の指でボールを包
み、手首を返さずにすっぽ抜かす。もともと遅い上に、結構大きな落差で落ちるのでチェンジ
アップとしても、ウイニングショットとしても非常に有効なボールだが、ついフォームがゆっくりに
なってしまったりするために投げる人は意外と少ない。

ナックル

 指の第一関節を二本ないし三本曲げ、はじくようにして投げるボール。弾き方、弾く指、投げ
方などでいろいろな変化をし、空気抵抗を激しく受けて揺れながら落下する。日本では主流
は二本指ナックルだが、アメリカ、あるいは日本でもプロ野球では三本指ナックルが主流だ。

 バファローズのマットソン投手が三種類のナックルを持つことが話題となったが、高校生で
も結構投げる人を見掛ける。

 有名なのは何と言っても大リーグのニークロのナックルで、これはもう魔球と呼ぶ以外に無
い。

タイガーナックル

 三本指ナックルの別称。この場合指ではじかず、つめではじく感覚であるとそれをタイガー
ナックルと呼ぶ。指を立てて投げる人もいる。つめのケアのほか、腕の振りが正しくないと直ち
に筋に異常を来す。ボールを非常に強い力で上から押すため、回転がほとんどかからず、大
きくブレながら真下に落ちる。そのためナックルとは若干違う変化であるといって良い。

サークルチェンジ

(OKボール)

 アトランタブレーブスのマダックス投手の決め球。OKボールと言う名が示す通り、親指と人差
し指の間に挟み、そこから抜いて投げる。投げ方としては残りの指をOK状に開く投げ方と、そ
のまま指をそろえて筒状にして投げる投げ方がある。マダックス投手の超低速で、しかも揺れ
ながら落ちるこのボールは、キャンディオッティのナックルなどとならんで史上最高のチェンジ
アップと呼ばる。

 日本ではわずかにガルベス投手などが投げていたが現在では投げているのかどうか。また
ファームの投手が投げている例があるようで、たまに耳にする。

 またキャンプでライオンズの松坂大輔投手がこれを投げ、話題になった。

 

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