泥酔!和泉村キャンプ

日時      1997年9月5日〜6日

到達場所   福井県北部和泉村の某キャンプ場

メンツ    僕 ヒロ 上馬君 後藤さん

到達手段   ヒロのRAV4

 

 七尾から帰ってきて、寝て、起きたらキャンプである。非常に忙しい。無駄に。毎日毎日どこかに出かけている。僕はキャンプのようなことは何度かしたことがあるが、テントで寝るのは始めてである。いつも布団の上で寝ている人間で、車の中ででも寝れない人間だから、どうせ徹夜になるだろうな、と思った。

 我が家に迎えに来たヒロ。上馬くんも助手席にいた。軽装で車に乗り込む僕。車はテントなどぎっしり積んでいるかと思いきや、実はさほどでもなくて、後部座席に僕の乗るスペースは十分にあった。キャンプ場にいく前に買い物にいく。買いものは大野市内にあるジャスコ、リブレで行う。キャンプといえばやはりカレーだろう。そう思っていたらそうではなかった。彼らは塩などの調味料と、割り箸などの他に、酒を物色している。キャンプで酒?しかも日本酒?どうしたもんだろう。酒なら外で飲む必要はないのではないか?そう言ったら、

酒を飲まんでキャンプといえるか。」

とヒロ。そ、そうなのか?すると横で上馬くんが

スパゲティーは何がええかの?」

と言っている。ス、スパゲティー?呆気に取られる僕。

「スパゲティーって?」

「ばかもの。キャンプといえばスパゲティーだろ。」

とヒロの冷たい言葉。

「キャンプっつったら、カレーだろ、あれ、え?」

「ん、美味しいよ、スパゲティー。」

上馬くんはスパゲティーミートソースの缶を嬉々として持っている。ヒロは寂しそうな顔で僕の肩をぽんとたたき、

「君だけはわかってくれると思っていたよ…」

え、何?俺なんか悪い事言った?生まれて初めてするキャンプというものは、想像を絶するものであるようである。

 

 

 

 曲がりくねった道を行き、大野市を抜けて和泉村へ。和泉村で上馬くんはさっき買いあぐねていたお酒を買い、そしてキャンプ場へ。キャンプ場はきれいな川の近くにあった。

「はああああああああああ。きれいやねぇぇぇえええ。」

僕は二人に圧倒されっぱなしで、知らない所に連れていかれる子供のように無邪気になっていたが、その景色は無邪気な子供には刺激的なほどにきれいだった。キャンプ場の受付を済ませてテントを建てるサイトへ急ぐ。

 誰もいやがらねえ。誰かいろよ。誰もいない方がいいじゃねえか、というヒロの言葉に、確かにそうかもしれないと、思い直した。そういえば夏休みなのは僕ら大学生だけじゃないか。

テントの準備などを済ますと、僕らはさっそく近くの川へ急いだ。近くの川というのはいわゆる渓流だが、比較的に河原が広く、石も大きくてなかなかに遊べる。岐阜県民で元々こういう風景には慣れており、とくに河原で遊ぶのが昔から好きな僕は嬉々として石を飛んでいると上馬君が僕を指差して

忍者

と言った。しばしどうして良いか分からなかったが、とりあえずしばらく忍者ヅラすることにした。忍者としては石を飛んで、ちょっと行けないであろうというでかい石を見つけて飛ぶのが生業だが、その石、ちょっとホントに行けない。しかし負けずに勇気を持って上った。

「おお、すごい。」

と上馬くんが半分馬鹿にしたような感嘆の声を上げたが、僕は開き直って

「どうじゃ!我が輩に上れるものはない!」

馬鹿丸出しのセリフ。しかもその後おりれない。どうしたものか。

「どうしよう、おりれんで。」

そうなると思ったと言う表情で上馬くんが

「大丈夫!」

という。助けてくれそうにないので、勇気を出しておりようとする。こんな事にこんなに勇気を振り絞るとのか思うと、自分の馬鹿さ加減に嫌気がさしてこないでもない。さあ、勇気を出して。いや、降りれない。そこへ小林ヒロノリ登場。

楽しそうやな。」

と屈辱的な言葉を浴びせるが、こうなりゃ開き直るしかない。

「おお、楽しいぞ!貴様も来い!」

もうやけだ。

「反対側からおりれるんじゃない?」

と上馬君。その声を聞いて大きな岩の反対側へ行く。おりれそう。よかった。まさに九死に一生、そんな大袈裟なもんでもないけどさ。おりると今度は垂直のコンクリート壁(崖場になっている)を登る。階段が隣にあるのに。遊ぶと言うものはまさにそういうものなのだが、無駄の極致を地で行っている。それが楽しいと言うのはいうまでもないけど。

 

 

 

 暗くなってきたので、水道で水を汲んで湯を沸かす。誰もいないので水道の所で湯を沸かす。傍若無人、いや傍無人。誰もいないので何をやっても許される。湯が沸くとスパゲティーを茹で、何とかかんとか晩ご飯にありつくのだが、思ったとうりうまく行かなかった。そう言えばキャンプのカレーだけは不味いと言う話を聞いたことがある。大体どんなものでも外で食べれば美味しく感じるものなのだが、御飯などはそう上手く炊けないからなのだろうか。それを考えればこのスパゲティーは正解かもしれない。そんなに上手く茹でれたものでもなかったが、雰囲気で十分美味しく頂けた。

 さて、酒を飲む。とりあえず、目の前に酒があると、飲まなきゃいけないと思って、まず一気してしまうの僕の癖である。一気に無くすと当然のごとくうわばみの二人に酒を注がれる。

「あかんよ、壊れるし。」

というと、

「ん、大丈夫。君の壊れるとこ見てみたいし。」

と、上馬君。壊れると強くなるのは、サイヤ人と同じ、とかすごい理論を教えてもらった。

「当然飲むでしょう!飲むべきでしょう!」

とヒロ。一杯注がれるとしばらく目の前においておいて一気、それを繰り返す。酒豪のヒロと上馬君と同じペースで飲んでいたのだから、今思い出しても信じられない。もう何杯飲んだか分からん。日本酒なんかコップで飲むものじゃないとか思いながら飲む。完全に暗くなってもう誰もいない状態で大声で歌を歌ったりしながら夜がふける。なぜだかガンダムのシャアのテーマなどを大声で歌う。酔っているから気持ちが良いのだが、これがある一点を越えると当然…。

 

 

 

 酒が無い。無くなった。二人でも少な目に買ったと言うのに、僕が予想以上に飲めばどうなるかと言うと当然足りなくなる。そこで酒を持ってくるようにお友達に連絡。岸本さんその他大勢は、実家に帰っている人が多く、連絡取れなかったが、この年からバイトを始めている後藤さんがそう言えば福井に滞在中。

G氏、G氏ィィィ。」

と完全に酔っ払って虎になっている僕をまだ酒の足りない二人はもてあまし気味である。その後電話ボックスまで行って後藤さんに電話、晴れて後藤さんの登場に至るわけだが、僕はついに頂上に達し、急落下を迎える。ほとんど耐えることなくトイレで陥落。

 陥落したことがある人には分かるのだが、ちょっと耐えてから吐くと身体に残るのだが、耐えずに吐くとほとんど体には残らないらしい。しばし吐いて、トイレの中でうなっていたが、その後しばらくして、やけに大人しく復活する。復活するまでは大変で、駆け込んだトイレが男子便所じゃなくて女子便所だったとか、その他吐いては行けない所に吐いたとか、そのスパゲティー(以下略)だったとか。で、自販機でCCレモン飲んでいると、思いのほか早く後藤氏登場。僕はその時確かヤマトの歌を大声で歌っていたと思うがはっきりとは覚えていない。

 その後しばらくすると復活したので、G氏の持ってきたビール、キリン秋味を一口飲んで、また倒れてすぐヒロに渡すなど、お酒の弱さを見せ付けたが、次には虫を焼くことを開始。何やってんだか。

 

 

 

 

しばしすると、テントで皆就寝。テントに入る前に南の空にUFO(未確認飛行物体)を見つけたが、それがただの天体か、光か、宇宙人が乗っていたかは意見の分かれる所。正直なところ、間違いなく飛んでいたとは思うが、もし宇宙人が乗っていたらあまりに不用意すぎるので、それはないと思った。ホントにどうでも良いんだけど。その後みんなは寝るも、予想どうり僕は寝れず。酒が入ろうが、寝袋に入ろうが何しようが、寝れないものは寝れない。

仕方が無いので寝袋の中で皆が寝静まるのを待って外に出、油でベタベタになっている食器類を洗った。買った台所洗剤がジャスコトップバリューの商品だったので、全然落ちず、1時間以上洗った。おかげで一番の思い出はこれだ、こんちくしょう

 みんな起きてきたのはおおよそ僕がテントを出て三時間後。バーナーで光りに集まる虫を焼いてみたりとか、香ばしくコショウと塩で味付けした後やいてみたりとか、そんなんばかりやった。虫からしてみりゃいい迷惑だ。

 

 そうして家路に。予想どうり寝れなくて、結構つらいキャンプだったが、また来たいな、と思った。

 

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